『ジャーナリング』って聞いたことはあるけど、よく分からない。
やってみたい、興味はあるけど始め方や書き方がわからない、という方もいらっしゃいます。
「なんだかモヤモヤする」
「嫌だったことをぐるぐると考えてつらい」
こういうときはありませんか?
ジャーナリングは、毎日の思ったことや感じたことを自由に書いていくことで、自分のことを気づくきっかけになるこころのメモの様なものです。
ノートとペンを用意して、その時の気持ちを書き出すだけで、少し心が軽くなり、気持ちを整理できます。
いつでも始められて、効果が期待できるジャーナリングを、精神科ナースがわかりやすく解説します。
なぜ「書く」だけで心が軽くなるの?

脳の「容量オーバー」を解消する
脳はいつでも考えたり、感じたり、覚えたり、常にフル回転しています。
紙に感じていること、頭に浮かんだことを書き出すと、ずっと頭の中でぐるぐると考えていたことが文字になります。
次に浮かんだことを文字に出す、次に浮かんだことを文字に…と続けていくと、ぐるぐるしていた思考が整理されていきます。
今までぐるぐる考えて渋滞していた頭の中が整理されて、新しい発想や視点に気づくことができるようになるんです。
「私は苦しい」から「私は今、苦しいと感じている」へ
気持ち(感情)も同じで、『苦しい』『悲しい』『悔しい』という気持ちが胸いっぱいになってしまうときがありますよね。
そんなとき、感じた気持ちをそのまま書き出すのがジャーナリングの大切なポイント。
【苦しい私の心】から【私の気持ちは今、苦しいんだ】に変わると、私は苦しい気持ちを感じているんだな、と苦しさと一体になっている自分の心を、気持ちと分けてあげることができるようになります。
心のデトックス効果
嫌な出来事、嫌な考え、不安なこと、怖いこと、そうしたことが浮かんでいたら書き出します。
不思議なもので、頭の中だけで考えているよりも紙に書いてしまうと少しだけ心が楽になります。
場合によっては書いて保存したくないこともあるでしょう。それなら書いた紙を破って捨てても良いのです。ビリビリ、ぐじゃぐじゃにしてしまうことでスッキリする効果もあります。
準備するのはノートとペンだけでOK!

100均のノートとペンでOK
ジャーナリングのための専用のノートはいりません。
とりあえず家にあるノートでも、100均やコンビニで買えるノートでもOK。
お気に入りのノートを用意しても良いですが、「きれいに書こう」と気持ちが高まりすぎても続きにくくなります。
見せるためではなく書くのが目的なので、どんなノートでも良いのです。
ペンも黒のボールペンがあれば大丈夫。色ペンで装飾する必要はありません。
時間は3分からでOK
『静かな場所で、15分間自分と向き合う』と良いと言われますが、まずは書くことが大切です。
最初は15分間が長く感じるかも知れません。まずは3分でもいいので簡単に書いてみましょう。
書くことが浮かばなければ無理はせず、そのままの気持ちを書けば良いです。
『今の気持ちを書く』ことが大切です。
文法も誤字脱字も気にしない
見せるためではなく書くことが目的です。
誤字脱字、字のきれいさは気にしないで、どんどん書きましょう。
ときには話が前後するかも知れません。それで良いのです。思い浮かぶ気持ちを紙の上に書いていくのが大切です。
何を書けばいいの?
自由に書いていい、といわれると何を書けばいいのか分からないときもあると思います。
お悩み別に考え始めるためのお題をあげてみましたので、参考になれば嬉しいです。
1.人間関係の悩みがあるとき
「あの人のあの言葉にモヤモヤしている」
「本当は私は言いたかった、でも言えなかった」
「苦手な人がいる。本当は私はどうしたかったんだろう?」
2.恋愛の悩みがあるとき
「相手に合わせ過ぎているかも知れない、私はどうしたかった?」
「あの人の気持ちが気になる、私はどうしたいんだろう」
「もし私と同じことで悩んでいる親友がいたら、どんな声をかけてあげる?」
3.仕事の悩みがあるとき
「仕事でミスしてしまった、私が心配していることはなに?」
「上司に怒られてしまった、私はその時どんな風に感じた?」
「同じようにミスをしたり怒られた同僚がいたら、なんて声をかけてあげる?」
4.将来への悩みがあるとき
「今の私に、未来の私が声をかけてあげるなら、なんと言う?」
「今の不安はなに?どんな未来を心配しているの?」
「全部うまくいったら、未来の私はどんなふうになっている?」
5.自分自身への悩みがあるとき
「今日の私を褒めてあげるなら、どんな言葉をかけてあげる?」
「同じことで親友が悩んでいたら、なんて声をかけてあげる?」
「つらいこと、無理をしていることは?『よく頑張っているね』と私をねぎらうなら?」
書き方に決まりはあるの?
どんな風に書いていっても良いので、書き方に決まりはありません。
出来事(何があった)や、行動(何をした)で書き始めたら、その時の気持ち、感情、何を思ったか、何を感じたかを書くのがポイントです。
気持ちを上手く言葉にできなければ、「もやもやした」「いらいらした」「わくわくした」など、自分で合っていると思う言葉で、その時、または書いている『今』の気持ちを書いてみてください。
書くだけで大丈夫。自分で答えを見つけたり、次はこうしよう、などは、頭に浮かんできたときだけで良いですよ。
毎日書かなくちゃいけないの?
できれば毎日書けると良いですね。その方が書くことが習慣になり、文字を書く負担が軽くなっていきます。
でも、書くことが難しいときは無理はせず。次の日にまた書いていきましょう。
あとから書けなかった日のことを振り返ってみるのも、とても大切な時間になるかも知れません。
ジャーナリングの嬉しい効果

こころも、からだも効果あり
ジャーナリングをすると心が軽くなるだけでなく、身体への嬉しい効果が期待できます。
こころへの効果
- デトックス効果で、こころの苦痛が緩和する
- 不安が落ち着いて、気持ちを客観的に見れるようになる
- ぐるぐる思考から解放されて、頭とこころが疲れるのを防げる
- レジリエンス(こころのしなやかさ)が強くなる
- 自信が回復する
からだへの効果
- 睡眠の質があがる、寝付きがよくなる
- 免疫機能があがって体調が悪化しにくくなる
- 不安や緊張が軽くなるので血圧や脈拍が安定しやすくなる
- ストレスが原因の頭痛、肩こりなどの痛みが軽くなる
参照URL:Writing to heal(癒やしのための執筆)
Writing about emotions may ease stress and trauma
効果を高める「3つのポイント」
ジャーナリングを試してみて、もっと効果的なやり方をしたいと感じたら、次のポイントを踏まえてやってみてくださいね。
- 場所と時間を決める: 寝る前や朝、静かな場所と時間が集中できておすすめ。
- ポジティブもネガティブも大事な私: どんな感情も、大切なあなたの一部。
- 時々見返してみる:1週間、1ヶ月などで振り返ると、気持ちの動きや傾向に気づける。
こんな時は無理をせず書くのをやめる
書くだけで良いジャーナリングですが、あまりにも辛くて苦しい気持ちのときは書くのをやめましょう。
書き出して気持ちが楽になる場合と、書くことで辛い記憶が蘇ってしまい傷つく場合があるからです。

このようなサインが出たら、書くのをやめて静かに呼吸を整えてくださいね
- 自然に涙が出てきてしまい、止まらない
- 手や身体が震えてきてしまう
- その時の記憶が、今起こっているかのように蘇る
- とにかく苦しい、つらい、嫌だ、というような強い感情がわいてくる
まとめ
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
精神科の現場で多くの患者さんと接してきて感じるのは、私たちは「誰かのための自分」を一生懸命に生きすぎて、自分の本当の声を聞くのを後回しにしがちだということです。
ジャーナリングは、誰に見せる必要もありません。装飾も上手に書く必要もありません。 ただ、ノートに今の気持ちをそっと置くだけ。それだけで、あなたの中のこころを軽くすることができていきます。
もし、書こうと思ってもペンを持つ手が動かなかったら、「今日はノートを開いた。それだけで100点!」と自分を褒めてあげてくださいね。
あなたの心が、少しでも穏やかで、自由に軽やかになりますように。









