親、子供、友人、パートナーなど身近な人が、落ち込んでいたり、何となく様子がいつもと違ったら心配ですよね。
本人もつらいですが、周りの人も不安でどうしたらいいのか、オロオロとしてしまうと思います。
それは、相手の方のことを大切に思うからこそ。なんとかしてあげたい!と思う気持ちはとても良くわかります。
でも良かれと思っての対応の中には、逆効果でメンタルに負担をかけてしまうものもあるんです。
不安な気持ちは痛いほどよくわかります。そこで、精神科で多くの方と接してきた看護師が、身近な人のメンタルが不調なときの適切な対応のしかたと、ついやってしまうNG対応をお伝えしていきます。
励ましよりも安心感が大切
元気がなかったり、落ち込んでいたり、いつもと違う様子だったりすると、心配になりますよね。
明るく励まして、早く元気になって欲しくなるところです。
でも気持ちが元気が出ないときは、こころが疲れているとき。必要なのは安心して休むことなんです。
身体が疲れたら横になって休みますよね。こころが疲れたときも同じなんです。
こころが弱いのでなく、忍耐強く限界まで頑張った人が本当に疲れたときのSOSサインなんです。
なぜ励ましが逆効果のときがあるのか
身体がへとへとに疲れた時に、もっと頑張ってと言われても「もう無理」って思いますよね。
こころも同じで、元気を出してと言われても「もう無理」なんです。
でも、こころが疲れてしまうまで頑張る人は、「頑張らなくては」と元気を出そうとします。だけど、もう元気は空っぽになっているので出そうとしても元気になりません。
すると、「励ましてくれたのに、気持ちにこたえられない自分はダメだ」と自分を責めてしまいます。
思いやりがあって真面目に頑張ってきた人ほど、自分に厳しくなってしまうので、弱っている自分を認めて休ませてあげることが苦手なことが多いです。
逆効果になることがある接し方の例
これらの対応は思わずやってしまいがち。でも本人は内心ではつらいかも…
- 「頑張って」「元気を出して」「あなたらしくないよ」と元気づける、励ます
- 「出かけよう」「遊びに行こう」「美味しいもの食べに行こう」と連れ出して気分転換を図ろうとする
- 「気のせいだよ」「みんなつらいのは一緒」とつらさから目をそらさせようとする
- 少し動いたり食べたりできたときに、過剰に喜んだり褒めちぎったりする
- 大きな決断(仕事、学業、人間関係など)を先延ばしせず面と向き合わせる
うつで気分が落ち込んでいる人を励ましてはいけない、というのは広く知られてきていると思います。
軽く落ち込んでいるときなら励ましの言葉が元気づけてくれるかも知れませんが、ひどく落ち込んでいるときや動くことや食べることができないほどのときは、静かにそっと見守って休ませてあげて欲しいのです。
早く元気になって欲しい、しっかりして欲しいという気持ちは、本人は誰よりも強く自分自身に思っています。でもいつもと同じ様にしたくてもできないから苦しいんです。
安心してもらうための良い対応の例
大切な人が落ち込んでいるとき、こんな風に対応してみてください
- 静かにゆっくりとした口調で話しかける(早口、大声はそれだけで不安に感じるから)
- 「ゆっくり休んで良いよ」「いつでも話を聴くよ」と声をかける(返事がなくてもそっとしておく)
- 一人になる時間をなるべく減らす。でもべったり一緒にはいない。(ずっといられたら圧を感じる)
- そばを離れるときは、次はいつ戻るかを伝えておく(一人じゃないことを伝えることができる)
- 寝たまま起きて来ないときは、時々そっと様子を見に行く(見に来ていることは伝わるから)
- 仕事や学校など連絡は可能なら代行して、本人からはメールにしてもらう(電話は不安が強まるから)
- 本人の希望にそって、普段はできることができない時はあまり心配しないで手伝う(本人はもう一生できないのではと思うかも知れませんが、そんなことはありません)
大切な人が落ち込んでいると、自分も元気が出なくなったり、自分は元気でいなくてはと明るく振る舞ったりしたくなります。
でも、落ち込んでいる人にとっては、大切なあなたがいつもと様子が違うのはつらいものです。自分のせいでつらい思いをさせている、と余計に自分を責めてつらい気持ちになってしまいます。
ここで大切なのは、『普段通りのあなたでいること』です。普段と同じ、でも近くにいるよ、大切に思っているよ、という気持ちを行動にしていくと良いです。
支える方にとっても、毎日が不安なことと思います。普段通りにしているのもつらいときもあると思います。
そんなときは、カウンセラーなど専門家に話を聞いてもらうだけでも、こころが楽になります。
アウェアファイなどの心に寄り添う専門のAIアプリに話をするのも、誰にも言えない苦しい気持ちを外に出すことができるのでおすすめです。

特に避けるべきNG対応の例
ここまで読んで下さった方には、この項目は必要がないと思います。
もし他の人がこのような対応をしていたら、それとなく止めてあげられると大切な人の大きな助けになると思います。
また、もし当てはまることがあってもご自身を責めないでくださいね。相手の方を大切に思って、ご自身もとても不安で、なんとかしたいと一生懸命だからこその行動でもあるからです。
この対応をすると、さらに気持ちを沈ませて具合が悪くなる可能性があります
- 強い言葉で叱咤激励、あるいは叱って根性論で立ち直らせようとする
- 「もうダメだ」「終わったね」「これで最後だよ」など後がないと思わせる言葉で動かそうとする
- 食欲がないのに無理に食べさせようとする、動けないのに無理に動かして行動を起こさせようとする
- 気持ちを話そうとしているのに、「暗い話は聞きたくない」「言い訳は聞きたくない」と拒絶する
- 「大人だから」「大黒柱だから」「母親なのに」などと責任や役割を思い出させようとする
- 「病気のせいにするな」「そんなの気の持ちようだ」とつらい気持ちそのものを否定する
- 「あなたが苦しいと私も苦しくなる」などと遠回しに相手を責める言葉を吐いてしまう
- そっとしておくのではなく、完全に無視をして放置する
悪気はなくても、こんな風に対応している場面を見たことや聞いたことはありませんか。
気持ちが落ち込んでいないときでも、このような接し方をされると気持ちが沈みますね。
こうした誤った対応をされてしまったために状態の回復が遅れてしまう方に、精神科の看護師をしていると時々お会いすることがあります。
気持ちが落ち込んで自分ではどうすることもできない状態は、頑張ろうとしても脳と身体が言う事を聞かない状態ですから、治療をしないと回復ができないばかりか、治るのも時間がかかってしまいます。
「こころの風邪」という言葉が良くも悪くも広まっていますが、実際に経験した方からは「風邪なんて生やさしいものじゃない、地獄のような日々だった」という言葉が聞かれるほど、つらい状態なのです。
気持ちの落ち込みが続く時は受診してほしい
少しの間、しっかり休むことで回復すればよいのですが、次のような状態が続く時は、精神科、メンタルクリニック、心療内科など、精神的な不安を相談できる医療機関を受診して欲しいです。
- 眠れない、夜中に目が何度も覚めてしまう
- 食事が食べられない、好きな食べ物も美味しく感じない
- 嫌なこと、つらいこと、苦しいことが頭から離れない
- 前は楽しかったが楽しく感じられない
- 集中ができず小さなミスを繰り返してしまう
- 前はできていた家事ができない
一人で予約をとって受診をするのも大変なエネルギーを消耗しますし、聞かれたことに答えるのも言葉が出てこないことも考えられます。可能な限り、身近な人に同行していただけるとありがたいです。
まとめ
最後までお読みくださり、ありがとうございます。
大切な人が元気に過ごしていたのに、最近元気がなくて落ち込んでいるときは、心配でなんとか元気づけてあげたくなりますよね。
ここで挙げさせて頂いた例は、実際に精神科医療の場面での経験をもとに書いています。
精神的に疲れてしまっている時は、回復に長くゆっくりとした時間が必要な場合があります。身体の回復は本人もわかりやすいですが、こころの回復は本人にもわかりづらい面があります。
しばらく休んでもつらさが続くようなときは、受診をするのも選択肢の一つです。
あなたと、あなたの大切な人の日常が穏やかな時間に戻るために、少しでもお役に立てば嬉しいです。

