自立支援医療制度は、心身の障害を除去・軽減するための医療について、医療費の自己負担額を軽減する公費負担医療制度です。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/jiritsu/gaiyo.html
この記事は、特に精神科へ通院している方へ向けて書きました。自立支援医療の利用についての疑問が解決するように、わかりやすく解説します。
精神科への通院を始めると、「自立支援は利用しますか?」と病院やクリニックの受付で聞かれると思います。
「自立支援って何?」と思っても、よくわからないし、誰に聞いたら良いのかわからない、そのお悩みを解決します。
自立支援医療を利用するメリットは次の2つです。
- 自己負担の上限を超えた分は自己負担なし。
- 医療費が3割負担から1割負担に減る。
「ちょっと難しいな…」と思われた方にも、わかりやすいように解説していきますね。
治療の費用が安くなる
自立支援医療を使うと、診察、薬、デイケアなどの費用の自己負担が軽くなります。
例)3,000円の支払い⇨1,000円の支払い
9,000円の支払い⇨3,000円の支払い
上限額を超えた分は、その月末までの精神科の医療費は支払い不要になります。
例)上限2,500円⇨支払いが2,500円を超えたら、その後は支払い不要。
上限5,000円⇨支払いが5,000円を超えたら、その後は支払い不要。
自立支援医療の対象は精神科の医療費だけです。精神科以外の病院にかかった費用は、通常の自己負担があります。
自立支援医療を利用できる方
- 精神科の治療を継続して行う方
- 特定の身体障害、身体疾患を治療する方
- 18歳未満の心身に障害のある方で治療をする方
この記事では精神科の治療に関してのみ説明します。ご了承下さい。
自立支援医療を申請する方法
必要な持ち物
役所の障害福祉課で申請します。持ち物は次のものです。
中でも診断書と本人の確認ができるものは忘れずに持っていきましょう。
診察券とお薬手帳は、いきつけの医療機関を書くときに役立ちますが、スマホなどで調べても書けますね。
- ハンコ(シャチハタは使えない場合があります)
- 自立支援医療の診断書(申請日から3ヶ月以内のもの)
- マイナンバーカードか、本人確認できるもの(免許証、障害者手帳など)
- 診察券、お薬手帳
- 保険証
- 課税証明書か非課税証明書、または生活保護受給証明書
- マイナンバーカードがない方は通知カード
本人以外が申請する場合は以下のものも必要です
- 委任状
- 代わりに窓口に行く人の本人確認ができるもの(マイナンバーカードや免許証など)
持ち物を忘れてしまったら相談してみよう
忘れずに持っていきたいのは、診断書と本人確認ができるものですが、他にも色々とあるので忘れてしまうこともあります。
そんな時はあきらめずに役所の窓口で相談しましょう。職員の方が調べてくださるので大丈夫な場合も多いです。
申請窓口は障害福祉課や福祉センターなど
自立支援医療を申請するのは、役所の障害福祉課か、地域によっては福祉センターなどが窓口になってます。
わからないときや違う課に行ってしまったときも教えてくださるので心配いりません。
色々な窓口があるので、どこに行けばよいか迷いますよね。行ってみたら課が違った、ということはよくあります。間違ってしまった経験は、ほとんどの人にあるのではないでしょうか。
書類を書くのが不安でも大丈夫
申請するときには書類を書きます。緊張する…、苦手…、という方でも大丈夫です。
書き方は職員の方が教えてくださいますし、間違えても書き直しや修正ができます。
必要な費用
- 診断書に3,000円〜5,000円くらい。(医療機関によって違います)
- 役所へ行くための交通費
申請したけど届かないとき
申請をしたあと、3ヶ月から6ヶ月くらいで自宅に自立医療受給者証と上限額管理票が届きます。
届くまでの間は、申請書の控えを持っていくと自立支援の1割負担と上限で支払いができる場合があります。
控えで自立支援医療が使えるかは病院や地域によって違いがあります。
通っている病院や薬局で確認をしてみてくださいね。
自立支援医療受給者証の使い方
自立支援受給者証は、見せるだけ
上限額管理票は、書いてもらうだけ
自立支援受給者証と上限額管理表は次のように使います。
- 医療機関の窓口で診察券、保険証と一緒に自立支援医療受給者証を見せます。
- 支払いの時に、上限額管理票を出して金額を記入してもらいます。
- 上限に達している場合は支払いは0円。上限に達するまでの費用が自己負担分です。
- 月が変わったら上限はリセットされて、次の月も上限までは自己負担分を支払います。
診察券、健康保険証、自立支援医療受給者証、上限管理票、おくすり手帳は受診の時にはセットで持っていきましょう。
自立支援医療の上限は人それぞれ違います。そのため、上限管理票を使って毎回の自己負担分が上限に達したかを確認するために金額を書く必要があります。
上限管理票を忘れたら、受付の人に伝えれば大丈夫です。忘れたから自立支援は使えないということはありません。
上限は月ごとです。上限まで払ったあとは自己負担がなくなります。月が変わると上限までは支払いが必要ですが、上限になると自己負担がなくなります。
上限まで支払うことはある?
治療の内容や薬の種類、数などによって個人差があります。
上限の金額も人によって違いますので、すぐに上限になる方もいれば上限まで達しない方もいます。
上限にならない場合でも、毎回の支払いが3割から1割に減るので全体での自己負担は軽くなります。
特にLAI(月に1~2回の注射)は非常に高額なものもありますので、自立支援医療を利用すると自己負担の大幅な減額となる場合があります。
自立支援医療を使うときのポイント
- 障害者手帳と同時に申請できるときは、診断書は1つで良い場合があります。
- 自立支援医療は精神科への入院中は使えません。退院の翌日から利用できます。
- 入院中に期限が切れる場合には、退院当日までは手続きができません。
- 通院先が指定自立支援医療機関である必要があります。分からない場合には病院に確認をして下さい。
通院以外で自己負担が減るのは
- 精神科で処方された薬(薬局は1つに決めておく)
- 精神科デイケア
- 精神科の訪問診療(往診)
- 訪問看護
- 生活訓練施設
自立支援医療が使えないのは
- 作業所
- 通院などの交通費
- 自費のカウンセリング
- ヘルパー
- 訪問入浴
- 福祉用具の購入、レンタル
上限
世帯の所得に応じて上限額が変わります。
どこにあたるのかは申請した時に判定してくれます。
- 2,500円
- 5,000円
- 10,000円
- 20,000円(経過的特例措置*2024年3月31日まで延長されました。)
更新
更新は1年に1回
診断書が必要な更新は2年に1回
次の更新については自立支援受給者証に記載されます。
診断書は申請日の3ヶ月以内のもの、となっています。
自分で行けない場合には、家族など代わりの人でも手続きができます。
更新は3ヶ月前から可能なので、期限の3ヶ月前となったら診断書を主治医へお願いして、診断書を受け取ったらなるべく早く更新に行くと安心ですね。
生活保護でも自立支援を申請するの?
生活保護を受給中の方でも、精神科通院のための自立支援を申請するようにと言われることがあります。
生活保護には、他に使える制度があればそれを優先して利用しなくてはいけません。(他法優先の原則)
そのため、年金などと同じく自立支援医療の申請もする必要があるのです。診断書の費用は生活保護から支給される自治体が多いようです。
デメリットはある?
費用がかかる
診断書の作成、役所への交通費がかかります。
更新が面倒
1年に1回、役所へ行って更新をする必要があります。
毎回上限管理表を出すのが面倒
診察やデイケアなど支払いの度に上限管理表を毎回見せる必要があります。
メリットは?
自己負担が軽減される
診察、薬、デイケアなど医療に関する自己負担が大幅に軽減されます。無料になる場合もありますし、自己負担が3割→1割と1/3になります。
支払いが時短される
上限に達したあとは月が変わるまでは自己負担なしです。支払い時に上限管理表を見せれば完了です。
お小遣いが増える
医療費の自己負担が軽くなった分だけ、お小遣いに回せば自分の好きなものが買えます。
自立支援医療を使う?使わない?
自立支援医療を利用するかどうかは、個人の自由です。
自立支援医療は、診断書作成を依頼することや、役所での手続きが少し大変です。
自立支援を使いたくないご事情がある場合もありますし、必ず使わないといけない制度ではありません。
ですが、自己負担が軽くなって、更新以外は特に大変なこともありません。
自立支援医療を使えばメリットは大きいと思います。
通院の負担を軽くして、継続して治療を行うための制度です。ぜひとも活用してくださいね!