精神科へ入院することは不安ですよね。色々なデメリットがありそうで、入院するか迷っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本当はつらいのにデメリットが気になって入院できないことで、しっかりとした治療が遅れてしまったり、休息をとりたいのに休めないのは困りますね。
この記事では、精神科への入院することのデメリットと対策をお伝えしていきます。
こんにちは!私は精神科勤務歴20年の看護師のなおです。
ちょっと疲れてしまったので入院して休むように医師にすすめられた、家にいても体調がよくならないので入院して治療しようかまよっている、といったお悩みはありませんでしょうか。
精神科への入院はわからないことも多いので不安ですよね。
入院するとしっかりと治療ができたり、食事や掃除などの家事をせずにゆっくり過ごせるなど良い点がたくさんありますが、デメリットもあります。
デメリットを知っておくことで入院することへの不安が少しでも減るのではないでしょうか。
入院することで考えられるデメリットにはこのようなことがあります。
- 入院が3ヶ月以上かかる場合がある
- 持ち込める私物が限定されてしまう
- 面会が自由にできない場合がある
- 病状によっては行動制限がかかることもある
- 一日中ドアに鍵がかかる病棟では、外に出るために許可が必要になる
このため、次のような対処をするとよいでしょう。
- 入院にかかる期間を入院前に聞いておく。長めに見た場合を聞くのがおすすめ。
- 自分で決めて任意入院にする。
- 入院前に医師ではなく、相談室に持ち込めるものを確認する。
- 可能なら開放病棟へ入院する。
入院を決める前に、持ち込める物についてや生活する中でのルールがあるかを確認しておくと安心です!
あとで説明をしていますが、精神科の入院は時間がかかる場合が多いです。仕事や学校、家事などのことを考えると、入院期間は長めに見た場合を聞いておくとよいでしょう。
また、入院形態を任意入院で入院できるとよいです。任意入院ですと、入院生活が合わなかったと思った時には原則として退院が可能です。
病院、病棟によってスマホが持ち込めない、日頃使っている日用品が持ち込めない、といった制限があります。入院を決める前に、相談室やソーシャルワーカーに聞いておくと良いです。相談室がない場合には、外来のスタッフに聞いてみましょう。
もしも何も教えてくれない病院でしたら、他を探してみるのも良いと思います。
病院を変えるメリット、デメリットはこちら。
入院のメリットはこちらをお読みください。
入院の期間
精神科の治療には時間が必要
医師がお薬の量を調節するためには、薬が効いてくるまで待つ必要があります。飲んですぐに効き目が分かるわけではないのですね。
また、精神科に入院する必要がある方は心身ともに疲れている場合がほとんどなので、しっかり休んで回復する時間も必要です。
以前に比べれば短くなりましたが、精神科での入院に時間がかかるのはこうした理由からです。
薬の調整に時間がかかる場合がある
薬の調整には、数日~2週間おきに薬の量を調整することがあります。薬の種類によっては、少しずつ量を調節して、ちょうどよい量と副作用を見ていきます。すると2~3ヶ月はかかってしまう場合があるのですね。
途中で薬が合わなかったり、思ったような効果が得られない場合には、さらに薬を調整することになりますので、入院時の予定よりも長くなることもあります。
全ての入院が長くなるわけではありません。短期間、休息をとるための入院もありますよ!
持ち込める品物が限定される
精神科の場合、入院中に病棟に持ち込める品物が制限されることが多いと思います。それは、入院するといろいろな患者様が一緒に生活をすることになるので、一律に「危険物」と呼ばれる品を持ち込めないルールを決めておく必要があります。
これについては病院によっても、病院の中の病棟によっても違いがあります。
よく制限がかかる持ち物
- コード類、スマホの充電器、ベルト、靴紐など
- カミソリ類、ハサミ類、裁縫道具
- 鋭利なもの、長くて硬いもの、可燃のもの
- ライター、マッチ、タバコ
- スマホ、携帯電話、パソコンなどの電子機器、ゲーム機
本人にとっては日用品でも、それが他に人にとっての凶器になったり自分を傷つける道具になってしまうことがあるので制限があります。これらは入院前に確認することができますので、あらかじめ確認しておくと良いと思います。
入院中は持っていかない方が良いもの
- 高価なもの(腕時計、アクセサリー、高級な化粧品、ブランドの服など)
- 個人情報が分かってしまうもの(住所、電話番号、家族構成など)
- ひもやベルトがないと着れないパンツやスカート、くつひものスニーカーやブーツ
- 一部のサプリメント類
また、これは精神科にかぎりませんが、治療に必要のない高価なものは持ち込まないことをオススメします。万が一なくなってしまっても返ってこないこともあるからです。
また、電話番号や住所がわかるものも、できるだけ持っていかない方がよいです。聞かれてもむやみに教えないことをおすすめします。
なくなったら困るもの、知られたら困ることは、鍵のかかる貴重品入れなどに保管しておくと安心です。
ひもやベルトがないと着ることができない服や靴ひものタイプのスニーカーは、持ち込めない場合がありますので避けた方がよいでしょう。
また、サプリメントの中には薬との飲み合わせなどの理由で入院中は飲めない場合があります。もし必要なサプリメントや携帯薬などがありましたら、入院前に医師へ確認してください。
思わぬトラブルを避けて、あとから嫌な思いをしないためにも、先に確認しておくと良いですね!
面会が自由にできない場合がある
病院なので面会時間が決められているのは同じなのですが、精神科では主治医が病状によくない影響があると判断した場合に面会を制限することがあります。
面会に職員が立ち会ったり、個室での面会ができなかったり、時間が決められていたり、病院によってルールがあります。
もし入院中に誰かの面会の予定がある場合には、あらかじめ確認しておくと良いと思います。
また、面会制限がかかっても、病状が安定してくれば解除になることもありますので、一回制限がかかったら退院まで会えない、ということはありません。
もし面会が制限されたときの対処法
もしも入院したあとに面会ができなくなった場合の対処法ですが、まずはその理由と制限解除に必要なことを主治医に確認してください。
また面会は制限されても、電話はかけられることが多いです。もし電話も制限されても外部との連絡は行えます。
信書(手紙)は制限できない
信書(手紙)はいかなる時でも制限できません。主治医あてに送るなどルールがあったとしても禁止はできません。
面会、電話ができないときでも手紙を送ったり受け取ったりできます。
あなたが受け取る前に勝手に職員が個人の手紙を開封することは法律違反にあたります。(信書開封罪)
ただし中に手紙以外のものが入っていないかは確認する場合があり、職員立ち合いで開封することになります。
またダイレクトメールや通販など個人的なものではない郵送物は、信書(手紙)にはあたりません。
行動制限について
精神科では、決められた項目について危険があると精神保健指定医が判断した際に、行動制限がかかる場合があります。(一部、指定医以外でも制限する場合もあります)
行動制限についての説明はこちら
命の危険が高く他に防ぐ方法がない場合や、自分や他者を傷つけてしまう恐れが高い時などに一時的に隔離や拘束が行われます。
隔離や拘束をせずに退院する方がほとんどなのですが、やむを得ず行う場合があるのも事実。医師も看護師も、できるだけ行動制限は避けたいですし、そうなる前に対処できるようにかかわっていくのですが、防ぎきれない場合もあります。
とはいえ、行動制限を受けたい人はいないでしょう。
ここでも任意入院が重要になります。
なぜ任意入院がおすすめなのか
任意入院とは、自分の意思で同意して精神科に入院をすることです。
入院形態などについてはこちらも参照してください→厚生省ホームページ
他の入院形態では、自分以外の人の同意で入院していることになるので、退院するにも自分の意志だけでは決められなくなります。
つまり退院したいと思ったときに退院できるのは任意入院だけなのです。
任意入院で入院しても途中で入院形態が変更になったり、退院を希望しても延期になる場合もありますが、基本的には任意入院であれば本人の意思で退院ができます。
行動制限についても任意入院の方には本人が希望したとき以外は原則として行われません。
せっかく入院したのに、入ってみたら思ったのと違った。休めなかった。そんな時に退院できるのは任意入院だけなのです。
自分で決めた入院です。「任意入院で」と希望してくださいね。
精神科に入院するデメリットへの対策まとめ
- 入院にかかる期間を、入院を決めるまえに聞いておく
- 入院中に持ち込める物を、あらかじめ確認して準備しておく
- 高価なもの、住所や電話番号のわかるものはできるだけ入院中は持って行かない
- 任意入院で入院する
いかがでしたでしょうか。
自分のための入院ですから、なるべく嫌な思いはしたくないものです。
持ち物のことや制限のことなど、精神科ならではのデメリットをあげました。
どこの科でも入院すれば、知らない人と一緒に過ごすことになります。マナーや距離感を保ちながら、日常を離れてゆっくりとした入院生活を送っていただきたいと願っています。
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