精神科の病院への通院や入院をしていて、病院を変えたいと思ったことがあるのではないでしょうか。
次のようなことを思ったことはありませんか?
- 通っている病院やクリニックを変えたいと思うけど、どうやったら良いのかわからない。
- 通いなれているところだから、他の病院に変えるのは怖い。
- もっと良い病院があるんじゃないかと思うけど、結局同じかも知れない。
このようなお悩みをお持ちの方は、実は結構いらっしゃいます。病院を変えて良かったという方もいますので、病院を変えてみることに挑戦してみるのも良いのではないかと思います。
こんにちは!精神科勤務歴20年、看護師のなおです。
この記事では、精神科の病院やクリニックを変えることのメリットとデメリットと、変えるときの手続きとポイントをお伝えしていきます。
病院を変えるメリット・デメリット
・今よりも自分にあった医師や看護師に出会える可能性がある。
・入院では、ルールや治療への方向性が病院によって違いがあるので、今より快適になる可能性がある。
・自分にあった治療に出会えたら、今よりも症状が改善されて退院や治療が早くなる可能性がある。
・新しい病院スタッフに、最初から自分のことを知ってもらわなくてはいけない。
・自分にあった環境、人を求めて次々に変えていくとドクターショッピングだと思われる可能性がある。
・いざ病院を変えてみたら、思っていたのと違う場合がある。
・元の病院に戻ることが気まずくなる可能性がある。
通院先を変えるときのポイント!
1.まずは次に通いたい病院やクリニックを探して決める
知り合いが通っているところがあれば、様子を聞いてみましょう
インターネットの口コミは、良い評価よりは悪い評価の方が書かれやすい傾向がありますので、参考程度にした方が良いのではないかと思います。
評判も大切ですが通いやすさも大切です。バスや電車は近くを通っているか、自宅からどのくらい離れているかは必ず調べましょう。
2.今の主治医に病院を変えたい事情を伝えて、診療情報提供書を書いてもらう。
診療情報提供書ってなに?という方も多いと思います。
診療情報提供書がないと、次の病院やクリニックの医師が困ってしまいます。大切なポイントです。
診療情報提供書とは、いわゆる「紹介状」です。これまでの経過や服用中のお薬などが書かれています。これを次の病院の医師に渡して頂くことで、スムーズに情報が伝わります。これがないと受け付けてもらえない場合もあります。
診療情報提供書の作成には、お金がかかります。いくら必要かは病院によって違います。また、頼まれてすぐに書くのは難しいので、できあがるまでには時間がかかる場合があります。
診療情報提供書の作成には時間とお金がかかるので、次に通いたい病院やクリニックに必要かどうかを聞いておくと良いでしょう。
予約が必要かも含めて、次の病院にも連絡をしておきましょう。
3.変更したいことの伝え方、自立支援医療の手続き
通院先を変えたい理由は、このようなものがあたりさわりがなくて良いと思います。
- 通うのが大変だから
- 知り合いに紹介されたから
- 治療を見直したいと思ったから
なるべくお互いに嫌な気持ちにならない理由を伝える方がスムーズですね。
一人で話すのが不安なら、家族や地域の支援者など応援してくれる人と一緒に主治医に話をするのも良いですね。
通院先を変えるときには、自立支援医療の変更の手続きが必要です。手続きをしていないと、自己負担の軽減が受けられませんので、ご注意下さい!
変更の手続きに必要なものや予約については、お住まいの地域の役所に確認をお願いします。
参考ページ:自立支援医療について(厚生労働省ホームページ)
転院はハードルが高い!
入院中の病院を変えることを「転院」と言います。転院はなかなか大変ですが、焦らずにすすめていきましょう。
- 入院中に病院を変えるのは、自分の意思だけではできないのでハードルが高い
- 転院は主治医からみても病院を変える必要がある場合にしか基本的には難しい
- 主治医に相談できないなら、転院先に強く交渉してくれる家族や支援者の協力が不可欠
入院中に自分で転院したい病院に電話すればいいんじゃない?と思われるかと思いますが、ほぼ100%の確率で、「今の主治医の先生と相談をして下さい」と返事が来るでしょう。
精神科に限らず、転院は病院同士で相談しながら調整を行います。
なので、入院中の方が直接転院先の病院に連絡をしても、話を進めることができないのです。
まずは主治医に転院したいことを相談する
入院中に病院を変えたいのであれば、まずは主治医に相談をして、転院を希望していることを伝えましょう。
一回では話は進まないかも知れませんが、本気で転院を希望していることを理解してもらえるよう繰り返し話しましょう。
転院は病院にとっても簡単なことではないので、1回話しただけで「じゃあそうしましょう」とは行かない場合が多いです。
ご家族や看護師、ソーシャルワーカーにも相談する
転院を希望している理由や気持ちを、ご家族や支援者の方、担当の看護師、ソーシャルワーカーにも話しましょう。
このときも、ちょっと話しただけでは本気で転院したいことは伝わらないかも知れないので、何度も相談することが大切です。
繰り返しになりますが、転院は一人ではできません。周りの人に理解してもらい、手伝ってもらわないと実現しません。
転院先の病院は家族やソーシャルワーカーに探してもらうことになりますし、転院に向けての準備には看護師のお手伝いが必要です。
病院を変わるときには、ご家族の方は色々な手続きをすることになりますし、費用のことも考えなくてはなりません。
一番大切なのは、入院しているあなたのお気持ちです。その気持ちを伝えて理解してもらうことが何よりも大切です。
転院したい気持ちの伝え方
- 何に困っているのか、どんな嫌なことがあったのか
- 他の病院に移ると、どんなことが良いと思うのか
- 転院するならどんな病院が良いと考えるのか
- 相手(医師、看護師、家族など)はどう思うのかも聞く
- 転院をするためには、自分は何をすれば良いのかを聞く
このくらいの話ができれば、きっとあなたの本気は相手に伝わるのではないかと思います。
ここまで読んで下さって、本当に病院を変えたいと思っているということは、今の環境や治療、スタッフなどに、何かしら不満や不安があるのではないでしょうか。
メリット、デメリットはありますが、あなたの人生の時間は貴重です。
病院を変えれば、環境も周りの人々も雰囲気も大きく変わります。あきらめずに気持ちが伝わるまで相談をしていってください。
もし、何となく病院を変えればもっと良くなるのでは、とか、特定のスタッフが嫌いだから、というような理由だけでしたら転院はじっくり考えた方が良いでしょう。今、あなたが安定した生活が送れているのなら、今の治療は合っているのかも知れません。